研究概要 |
関節リウマチ(RA)滑膜炎による関節破壊の分子メカニズムを明らかにする目的で、RA及び変形性関節症(OA)患者より手術時に採取した滑膜組織を培養し,破骨細胞形成過程に変動するバイオマーカーを包括的遺伝子発現解析および多項目同時解析手法を用いた変動蛋白解析により検討した。RA滑膜組織培養では培養2日目よりACP5遺伝子の発現が上昇し、OAに比べて多数の破骨細胞が形成された.Gene chip解析では, 炎症性サイトカイン(IL-1, TNFα, IL-6) 遺伝子の発現は培養初期に高く,漸減し、RANKL遺伝子は培養全期をとして発現がみられ,RAとOAで差はなかった.Pathway解析ではNFκ-B, p38 Mark signaling等炎症、免疫系のシグナル伝達経路に変動遺伝子の集積がみられた。培養上清中のバイオマーカーの多項目同時解析では、RA滑膜組織培養においてTNFβ、IL-17Fの増加がみられ、その他の炎症性サイトカイン、破骨細胞分化誘導因子などの変化はRA,OAで差はなかった。RA滑膜組織由来破骨細胞による骨破壊には炎症性サイトカインやT細胞サイトカインが関与している可能性が示唆された。
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