関節リウマチ(RA)における骨破壊の進展には、滑膜病変部における炎症性サイトカイン発現による破骨細胞誘導とともに骨形成障害が関与している。本研究では、RA滑膜のサイトカイン発現に伴う骨形成障害の分子機構の明らかにするため、マウス由来筋芽細胞株C2C12細胞の骨芽細胞への分化・活性化を制御する骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein : BMP)のレセプター発現とそのシグナル伝達経路と転写因子の活性化に及ぼす炎症性サイトカインTNF-αの作用を分子レベルで解析した。 BMP依存性の骨芽細胞分化において、腫瘍壊死因子(TNF-α)はBMP-Smadシグナル経路を抑制することにより分化阻害を起こすことが明らかになった。このTNF-αの骨形成障害の誘導には、MAPキナーゼのSAPK/JNK経路が重要な役割を担っており、その下流には阻害性Smad6の誘導が関与していることが推定された。このTNF-αによる骨芽細胞分化障害は、RA患者骨組織から分離した骨芽細胞の分化モデルにおいても起こることが示唆された。
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