ヒト臍帯血由来単核球をIL-3存在下に2週間以上培養した細胞をBasophil Isolation Kit IIを用いて月臍帯血由来培養好塩基球として分離した。この細胞はヒト末梢血中の好塩基球と比較して、Wright染色では細胞質の好塩基性顆粒の分布は粗であるが、Alcian blue陽性で一部の細胞ではフローサイトメーターを用いてIgE Fcレセプターを発現していることが確認されたことより、幼若な好塩基球と思われた。臍帯血由来培養好塩基球をヒトIgEで感作し、抗ヒトIgE抗体で刺激して得られた上清と無刺激の上清中のサイトカインをAntibodyarrayを用いてスクリーニングした結果、anti-IgE刺激することにより上清中のIL-8が増加していた。臍帯血由来培養好塩基球からのanti-IgE刺激によるIL-8産生はanti-IgEが1μg/mlで最大で刺激後3時聞で最大量に達し、刺激後1時間でのIL-8mRNA発現をrealtime PCRで測定した結果、有意に増加していた。また、IL-8産生は培養液中の胎仔血清により増強され、またIL-3によっても若干増強された。ヒト末梢血からBasophil Isolation Kit IIを用いて分離した好塩基球をIgEで感作し、抗ヒトIgE抗体で刺激した場合にもIL-8産生が観察された。以上の結果よりヒト好塩基球はIgE介する刺激によりIL-8を産生し、好中球性炎症を惹起する可能性が示唆される。
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