ヒト臍帯血単核球よりIL-3存在下に培養して得られた細胞および、さらにこの細胞をBasophil isolation kit IIを用いてnegative selectionした培養好塩基球のIgE Fcレセプターの発現をフローサイトメトリーにより解析した。細胞をヒトIgEと2時間インキュベーション後洗浄し、FITC標識抗ヒトIgEモノクローナル抗体を用いて、細胞表面に結合したIgEを検出する方法を用いた。ヒト末梢血単核球からBasophil isolation kit IIで分離した末梢血好塩基球に比べて、単核球由来培養好塩基球のIgE Fcレセプターの発現レベル(蛍光強度)は低かった。この細胞をヒトIgEで受動感作後、至適濃度(1μg/ml)の抗ヒトIgE抗体で刺激すると、有意なIL-8産生が確認されることより、発現レベルが低いながらも単核球由来培養好塩基球にはIgE Fcレセプターが存在すると予想された。しかしながら、IgEを介する細胞内シグナル伝達やIL-4産生を研究するうえでは若干問題であると思われた。そこでヒト臍帯血GD34+細胞をIL-3存在下で培養することとし、さらにIgE Fcレセプターの発現を増加させるために、ヒトIgE(500ng/ml)を培養液に添加して培養し、添加しない場合と比較した。その結果、GD34+細胞から培養した細胞では単核球から培養した細胞よりも、若干IgE Fcレセプターの発現が増加したが、IgEを添加して培養することにより、IgE Fcレセプターの発現レベルは著明に増加した。さらに、CD34+細胞からIgE存在下に培養した好塩基球では、IgE非存在下に培養して得られた好塩基球と比較して、抗ヒトIgE抗体で刺激した際に産生されるIL-4の量が約3倍に増強され、IL-4産生機構の研究により適したモデル細胞となることが確認された。
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