ヒト臍帯血CD34陽性細胞を500ng/ml IgE、10ng/ml IL-3存在下に10%胎牛血清含有RPMI1640で2週間以上培養すると、IgE Fcレセプターを十分に発現する幼若な好塩基球が得られた。この細胞を用いてIgEを介するロイコトリエンC4(LTC4)産生について検討した。培養好塩基球を0.1%BSA含有RPMI1640で洗浄後、抗ヒトIgE抗体を添加し、30分後に遠心して得られた上清中のLTC4を測定した結果、細胞1x10^6当たり2ng以上のLTC4が産生された。LTC4産生経路における律速段階はLTA4からLTC4への変換であり、この反応はLTC4 synthaseによってLTA4にグルタチオンが付加されることによる。すでにマウス肥満細胞株ではグルタチオン産生に係わるγ-glutamylcysteine synthetaseを阻害するL-buthionine-sulfbximine(BSO)や一部のプロスタノイドの作用により細胞内グルタチオン濃度が低下するとLTC4産生が低下し、逆にGlutathione reduced ethyl esterを用いて、細胞内グルタチオン濃度を増加させるとLTC4産生が増大することを確認しており、細胞内グルタチオン濃度によりLTC4産生量が規定される。培養好塩基球においてもGlutathione reduced ethyl ester存在下および非存在下に0.1% BSA含有RPMI1640で6時間インキュベーションした後、抗IgE抗体で30分間刺激し、上清中のLTC4を測定した結果、Glutathione reduced ethyl ester処理によりLTC4は約4倍に増加した。また、BSOで24~48時間処理するとLTC4産生は35~60%まで低下した。
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