研究概要 |
気管支喘息は気道における慢性アレルギー性炎症であり、その発症にはアレルゲン特異的IgE抗体の産生が中心的な役割を果たしている。近年吸入アレルゲンに対するIgEが、アレルゲン暴露により誘導される肺内胚中心様組織においても産生されることが示された。そこで肺内胚中心様組織におけるIgE産生制御機構の解明を目的に、肺内胚中心様組織におけるIgE産生細胞の分化制御機構の解析およびT_<FH>細胞の機能解析を行なった。平成20年度の研究では、野生型マウスに卵白アルブミン(OVA)を連続投与すると肺内胚中心様組織が形成され、肺内胚中心様組織にはT_<FH>細胞様の細胞が存在することを明らかにした。平成21年度の研究では、肺内胚中心様組織に存在するT_<FH>細胞様の細胞はICOS,PD-1,BTLAを高発現し、TCR刺激によりIL-21を産生することを明らかにした。そこで今年度の研究では、肺内胚中心様組織の形成におけるT^<FH>細胞の役割を喘息モデルマウスを用いて解析するとともに、喘息様の病態を高頻度で合併するIgG4関連疾患におけるIgE産生とT細胞の機能解析を行った。その結果、IgG4関連疾患患者9例中、全例で血清IgE値の上昇を認め、5例で末梢血好酸球数の増多を認めた。さらにIgG4関連疾患患者のCD4陽性T細胞では、健常者と比較してIL-4,IL-5,IL-10の発現充進とTh2細胞のmaster regulatorであるGATA3の発現亢進を認めた。現在、細胞移入法により喘息モデルマウスにおける肺内胚中心様組織の形成機構を解析中である。
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