研究課題/領域番号 |
20591188
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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研究分担者 |
有馬 和彦 佐賀大学, 医学部, 講師 (60336112)
鈴木 章一 佐賀大学, 医学部, 助教 (40253695)
白石 裕士 佐賀大学, 医学部, 助教 (80452837)
太田 昭一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (20346886)
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / 遺伝子 / 蛋白質 / 免疫学 |
研究概要 |
近年、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患が先進諸国を中心に増加しており、大きな社会問題となっている。その増加の原因として、衛生状態の改善によるものとする「衛生仮説」が提唱されている。アレルギー増加につながる具体的な環境要因の一つとして細菌成分であるリポポリサッカライドがあげられており、その暴露によりアレルギー性炎症が抑制されることが、疫学的な見地よりこの仮説は支持されている。しかし、その免疫学的機序は明らかでなかった。この点を明らかにするために、我々はリポポリサッカライドの受容体であるToll-like 4 (TLR4)受容体に対する刺激型抗体を作製し、喘息モデルマウスにおける影響について解析を行った。アレルゲン感作前にTLR4に対する刺激型抗体を投与したところ、アレルゲン感作が抑制され、その結果、アレルゲン吸入によって引き起こされる気道過敏性の亢進、好酸球を中心とした炎症細胞の浸潤といった喘息様の病態発症が抑制された。その免疫学的機序を解析した結果、リポポリサッカライドが樹状細胞を刺激してエンドトキシン寛容を生じ、共刺激分子の発現を抑制していた。そのため、樹状細胞によるアレルゲン特異的T細胞の活性化が抑制されていることが明らかになった。これらの結果は、現在のアレルギー疾患増加の原因を免疫学的に説明する根拠になると考えられた。さらに、TLR4刺激によるアレルギー炎症の抑制がアレルギー疾患に対する治療・予防に適用できる可能性が存在すると考えられた。
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