研究概要 |
CD1d拘束性のインバリアントNKT細胞は、自己免疫疾患や感染症、腫瘍免疫応答に重要な役割を演じている。しかしながらNKT細胞のもつ詳細な免疫制御機構は未だ解明されていなかった。私達は、NKT細胞と樹状細胞(DC)の相互作用に着目して、NKT細胞の免疫制御機構の解析を行った。NKT細胞とDCとの共培養系より、NKT細胞の活性化はDCの成熟を誘導するとともに、DCにおけるIL-12p70産生を促進する。その一方でIL-23産生を抑制することが明らかとなった。これの分子メカニズムは、NKT細胞が産生する調和のとれたTヘルパーサイトカインによるものであった。つまり、NKT細胞の産生するIFN-γ,IL-4,IL-13は、相互相乗効果によってDCにおけるIL-12p70産生を促進する。ところがNKT細胞の産生するIL-4,IL-10,IL-13は、IFN-γによって誘導されるIL-23産生を抑制する。これらIL-12/23産生制御は、IL-12p35,IL-23p19の遺伝子発現制御によるものであった。さらに、これに起因してメモリーTヘルパー細胞におけるIL-17産生が抑制されることが明らかになった。これらの観察は、NKT細胞がIL-12p70誘導性の細胞性免疫応答を促進するとともにIL-23依存性の炎症性病態を抑制することを示唆しており、NKT細胞が自己免疫応答に対して抑制的に作用し、腫瘍免疫応答に促進的に作用するメカニズムを説明しうるものである。
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