研究概要 |
難治性喘息では、好酸球性炎症だけでなく、好中球性炎症が重要な役割を果たすことが知られている。我々は以前、経口ステロイドに依存性の難治性喘息では、誘発喀痰中に好中球数が増加し、これが好酸球集積と相関性を示すことを報告した。さらに、好中球と好酸球の共存下にIL-8で好中球基底膜通過反応を誘導すると,好酸球刺激因子がなくても,好酸球の基底膜通過遊走反応が誘導され、好中球が好酸球の組織集積を能動的に調節しうることを報告した。本研究においては、さらに難治性喘息における気道炎症病態の解析をすすめ、以下の知見を得た。(1)重症喘息患者の喀痰ではIL-8が選択的に発現亢進している(2)呼気凝縮液では、重症またはコントロール不良例でTXB2またはLTB4の発現亢進が見られる(3)IFN群は血管内皮細胞における接着因子の発現亢進を介して好酸球の接着能を亢進させる(4)代表的吸入β2刺激薬であるsalbutamolは喘息患者単核球からのIL-13産生を亢進させ,IFN-γ産生を抑制する(5)IP-10などのCXCR3 ligandsは直接に好酸球の接着反応及び活性酸素産生を亢進させる。これらの事象が、重症喘息の病態形成において重要な役割を果たすと考えられた。
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