研究課題
臨床分離ピロリ菌株38株について、内在性ファージの存在の可能性を検討した。1. ピロリ菌を10%馬血清、10μg/mlバンコマイシン添加ブルセラ液体培地に接種し、37℃で約24時間震盪培養を行ない、遠心上清を濾過(孔径0.45μm)後4℃で保存した(非処理サンプル)。2. 栄養増殖期に2μg/mlマイトマイシンC(MMC)を添加し、2-3時間培養し、遠心処理で菌洗浄を行ない、新鮮培地に懸濁し、更に一晩培養した。その遠心上清を濾過後保存した(MMC処理サンプル)。3. 栄養増殖期に2μg/mlマイトマイシンC(MMC)を添加し、MMCを除くことなく更に一晩培養を継続し、その遠心上清を濾過後、4℃で保存した(MMC継続処理サンプル)。4. 上記のサンプルについて、スポットテストを行なった。寒天培地(1.5%寒天)上に菌液(16株)を0.1-0.5mlを接種し、50℃で保温した10μg/mlバンコマイシン添加ブルセラ軟寒天培地(0.5%寒天)を重層し、撹拌後固化する。その上に、上記サンプルを3-5μlスポットし、37℃で2-3日培養した。その結果、ピロリ菌Hp33株からの非処理、MMC処理、及びMMC継続処理のサンプルすべてが、ピロリ菌の少なくとも3株でスポットを形成し、MMC処理およびMMC継続処理サンプルについては、4株でスポットを形成した。5. Hp33 MMC継続処理サンプルを上記重層培地にストリークし、自己増殖性の指標であるプラーク形成能を検討した。その結果、本サンプルは少なくともピロリ菌4株において、プラークを形成することが確認された。以上のように、これまでピロリ菌ファージの報告例は極端に少ないが、実施者らは本研究年度において少なくとも1種のファージ様物質を特定した。残りのMMC継続処理サンプルついても、現在検討中である。
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