研究概要 |
下気道よりMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出された場合に,感染か定着かを判定するため尤度比を算出した。この結果に基づき,新たにMRSAが検出された患者のMRSA下気道感染の診断確率を算出するフローチャートを作成した。以上の研究内容については,57回日本化学療法学会総会および第57回日本化学療法学会西日本支部総会において演題発表を行った。 また,これらの診断確率算出のために作成したフローチャートを実際の患者に照合し,診断確率が臨床診断と照合した上で妥当な研究結果であることを解析により確認し,この結果について日本感染症学会の学術機関誌である感染症学雑誌に投稿した。起炎性を明確にしにくい感染症の客観的診断基準を創出するという観点から,査読を介する編集委員会において独創性の高い臨床研究(excellent)であるとの評価を得ることができ,学会誌論文として受理された(感染症学雑誌vol84,No5に掲載予定)。 平成20年度を初年度とする本研究計画の最低限の研究目的は,平成21年度までで達成することができたと思われる。現在は,実際の臨床事例を増やし,診断確率の妥当性を再検証すると共に,抗菌薬使用要否の判定法としての臨床応用を開始している。
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