深在性真菌症のうち、肺アスペルギルス症は増加の一途にある。慢性壊死性肺アスペルギルス症やアスペルギローマなどの慢性肺アスペルギルス症について、その病態は不明な点が多く、診断法、治療法についても十分に確立されていない。本研究は、実際の臨床症例を忠実に反映したモデルとして、慢性閉塞性肺疾患(COPD)をベースとした」「曼性肺アスペルギルス症のマウスモデルを作成し、局所における病態解析をはじめ、診断法開発、治療法の確立を日指すものである。 研究期間は5年間。実際の臨床病態に則したモデルを目指し、肺の器質的病変(COPD)マウスを作成、アスペルギルスを経気道的に感染させ、慢性感染モデルとする。到達目標として、(1)アスペルギルスの慢性感染に必要な因子、増悪因子の解明、(2)肺局所における宿主の免疫応答(炎症性サイトカイン、免疫担当細胞の動態解析)、(3)局所におけるアスペルギルス感染特異タンパクの検出とプロテオミクス解析による新規診断マーカーの検索、(4)抗真菌薬の治療効果の検討(併用療法も含む)、(5)IFN-γなどを用いた免疫療法の有用性に関する検討を行い、病態解明、診断、治療にいたるまでを総合的に解析する。
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