研究概要 |
潰瘍性大腸炎に対する抗菌薬多剤併用ATM療法の有効性を多施設と共同で二重盲検法によって検証した結果ATM療法の有効性が実証されたが、その論文を書き上げた。そして、2010年1月にAm J Gastroenterolにacceptされた。 また、昨年に引き続き,潰瘍性大腸炎患者を抗菌剤投与群と非投与群に分けて治療前後での大腸粘膜(虫垂,盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸)の細菌のDNAを採取し,制限酵素HhalとMsp1で切断して,Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism Analysis(T-RFLP)法にて細菌叢のパターンを調べたところ、抗菌剤投与群ではある塩基長(Hhal 1000bp, Hhal 100~200bpとMspl 100~200bpで治療後にピークの低下を認めたが、非投与群のT-RFLPでは治療前後で差を認めなかった。そのピークの低下を認めた塩基長について,クローニングを行い,それに該当する細菌群を推定した。 T-RFLP法による分析では菌群は推定できるが、菌種は特定できないので、粘膜からRNAを採取して、メタゲノム解析を行い潰瘍性大腸炎の原因細菌を突き止めようと解析中である。このメタゲノム解析は粘膜から抽出したRNAから細菌特有の16S rRNAを直接解析する方法であり、高性能シークエンサーを用いて行うものである。 ATM療法によって寛解になった症例と寛解にならなかった症例について、上記の解析を行い菌種レベルの比較を行う、またコンピュター解析によって、潰瘍性大腸炎の原因細菌を特定する予定である。
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