真菌細胞から分泌される、あるいは、真菌細胞表面に局在する真菌蛋白質を検索し、診断や治療の標的としてAspergillus fumigatus蛋白質YeMY1を選択して解析を行った。YeMY1はデータベースからは機能が推定できなかったが、検討した蛋白では発現量が多く、今年度の結果から病原性に関与することが示された。 1.Aspergillus fumigatusからクローン化したタンパク質YeMY1のin vivo感染モデルにおける検出を行った.実験的マウスアスペルギルス症を作成し、血清からのY1検出を試みた。昨年度までに作成したY1検出ELISAプレートを用い、非感染マウスと実験的マウスアスペルギルス症からえた血清を検体として、YeMV1の検出を試みたところ、実験的マウスアスペルギルス症の血清からはYeMY1が検出された。 2。A fumigatusのYeMY1遺伝子破壊株を用いて、YeMY1遺伝子が菌の増殖と病原性に与える影響を検証した。当該遺伝子破壊株Δyemy1株を感染させたマウスは、親株を感染させたマウスと比較して生存期間が有意に長かった。この結果から、YeMY1がマウスアスペルギルス症で感染増悪に関与する病原因子の一つであることが示された。 3.マウス抗YeMY1を作成し、実験的マウスアスペルギルス症に対して抗体を使用し、抗体の治療に関する有用性を検討した。いくつかの抗体で、生存を延長させる傾向があったが有意な効果は認められなかった。
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