研究課題
広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害などの発達障害にいわゆる「不器用さ」と表現される協調運動の稚拙さ:「発達性協調運動障害」を併せ持つ頻度は高いが、その医学的・脳科学的研究はほとんどなされていない。本研究は、多数の発達障害臨床例の詳細な検討、モーションキャプチャやワイヤレス筋電図などのバイオメカニクス解析・行動計測、事象関連電位、NIRSなどニューロイメージングにより、各障害相互の関連の解明、新しい疾患概念の提唱、乳幼児・就学前健診の科学的裏づけ、新しい療育プログラムの開発などにつなげることを目的とする。今年度は、1)現在、我が国において、子どもの「不器用さ」「発達性協調運動障害」に関し、これらを客観的に評価する指標が存在しない。そこで、前年度までにカナダ・カルガリ大学、オランダ・グローニンゲン大学との共同研究にて、国際的ガイドラインに基づきDevelopmental Coordination Disorder Questionnaire(DCDQ)(保護者用)、Motor Observation Questionnaire for Teachers(MOQ-T)(教師用)の日本語版を作成、プリテストを行った。今年度は、これらを用いて大規模調査を行い、その心理測定特性を検討し、スクリーニングツールとしての有用性と日本の子ども達の協調運動の発達の特徴を見いだした。2)小児でも適応可能な小型のワイヤレス・多チャンネル筋電図計を開発し、引き続き基礎的検討を行った。3)事象関連電位(ERP)、脳機能イメージングによる計測手法の確立など基礎的検討を行った。これらの成果は国内外の学会や専門雑誌で発表を行った。これまでの研究により、我が国における「不器用さ」「発達性協調運動障害」の発達小児科学的検討方法をほぼ確立することができた。今後はこれらのツールや手法を用いて、子育て・保育・教育、医療・療育現場での「困り感」を「気づき」に繋げる試みや、スクリーニング、実際の発達障害の臨床例についての検討等を行う予定である。
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Research in Developmental Disabilities
ページ: doi:10.1016/j.ridd.2011.02.012
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