研究課題
本研究では、ATM、Mrell、NBSlからのシグナルが胎生期の脳形成に重要でありかつ患者における小脳変性にも重要であることが明らかになったことからATM、Mrell、NBSlの共通のターゲットとなる蛋白質を検索しそれらの蛋白質から脳形成や小脳変性を来す重要な蛋白質を同定することを目的としている。また、1本鎖DNA切断修復遺伝子異常が遺伝性脊髄小脳変性症の原因であることが明らかにされ、これらの蛋白質との相互関係を検討し神経細胞死の共通の機序を明らかにすることを目的としている。これらの解析で病態の解明をすすめ早期診断法の開発、治療法の確立を目指している。今年度の研究実績は以下のとおりである。ATMのシグナルを種々の蛋白質に伝えているMrell-NBSl-Rad50複合体に結合する蛋白質を検索するため酵母ツーハイブリッド法を利用し候補蛋白質を15個同定し、これらの蛋白質それぞれについて発現ベクターを作製、細胞内で発現させMrell-NBSl-Rad50複合体との結合を免疫沈降法にて調べ、1年間に以下のことを明らかにした。1) 候補蛋白質の生理機能を解析細胞内における候補遺伝子の生理的機能を解析するため、強制発現系を利用し細胞内局在の確認、会合蛋白質との細胞内での結合の確認、アポトーシス刺激に対する反応等について検討し、DNA損傷時における候補遺伝子の発現パターン、細胞内局在の変化の有無、結合の状態の変化について検討した。2) 候補蛋白質とMrell-NBSl-Rad50蛋白質複合体との結合部位を決定候補蛋白質との結合部位をdeletion mutantを作製し、免疫沈降にて結合を確認した。Deletion mutantの細胞内局在を確認し、局在に影響を与えるドメイン内の結合部位に変異を加えた変異蛋白質を作製し機能解析を詳細に行った。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA 106, 6
ページ: 1880-1885