研究課題
【はじめに】膵島移植は、レシピエントの門脈内へ膵島を注入することで、肝内門脈の末梢域に膵島を移植している。しかし、生着する膵島は約40%と報告されており、大幅に膵島を失うこととなる。その原因として、血中に注入された膵島に対する血小板凝集反応や、肝内門脈末梢域の虚血性変化による、移植膵島に対する炎症反応が挙げられる。故に近年、それらの反応を回避するべく、肝外への移植についての報告が次々と報告されている。今回我々は細胞シート工学を用いた全く新しい膵島移植を考案した。【方法】膵島を温度応答性培養皿上で培養した。次に細胞の接着を目指しlaminin-5を温度応答性培養皿上にcoatingし、その上で培養し観察した。【結果】初期の段階では膵島はdishに接着せず、重力により、dish上に接しているだけであった。laminin-5をcoatingした培養では、殆どすべての細胞がdish上に接着し、広がり、培養2日後にはほぼconfluencyの状態となった。さらに低温処理することで、トリプシン処理することなく、自然に剥離できた。また、支持膜上の膵島細胞は、組織学的所見でもシート状に再構築した状態として確認された。【考察】温度応答性培養皿を用いた細胞シート工学を膵島移植へ応用し、移植可能な機能的膵島細胞シートの構築を成功した。藤島移植における新しい手技であると共に、本研究を更に発展させることにより、ES細胞やiPS細胞など、様々な細胞ソースから得られる膵島細胞を用いて、効率的な膵島移植を行うことも可能になると考えられた。
すべて 2009 2008
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Cell Transplantation 17(6)
ページ: 619-629