研究概要 |
本研究は急性期ステロイドホルモン生合成の律速段階であるミトコンドリア外膜から内膜へのコレステロール転送の分子機構を解明することを最終的な目標とするものである.当該期間では,コレステロール転送の主たる調節分子であるsteroidogenic acute regulatory protein(StAR)のミトコンドリア標的シグナルの役割をin vivoでの機能解析により明らかにした. 1)ミトコンドリア標的シグナルを含むN末端側47アミノ酸を欠失した変異Star(N47-Star)遺伝子を発現したStar欠損マウス(Star-/-TgN47-Star+マウス)のStar蛋白の発現量と細胞内局在の解析副腎および性腺のミトコンドリア分画を用いたウェスタンブロット,副腎皮質細胞の電子顕微鏡下での免疫金染色により,Star-/-TgN47-Star+マウスのN-Star蛋白発現量はStar-/-TgWT-Star+マウスのWT-Star蛋白発現量と同等でミトコンドリアに限局して発現していた. 2)Star-/-TgN47-Star+マウスの表現型の解析 Star-/-TgN47-Star+マウスの副腎皮質ステロイドホルモン非補充下での生存率,雌雄の妊孕性,ACTH負荷後の血清コルチコステロン値,hCG負荷後のステストステロン,PMSG負荷後の血清プロゲステロン値は,すべてStar-/-TgWT-Star+マウスに比し有意に低く,Star欠損マウス(Star-/-マウス)に比し有意に高かった. 以上の結果,ミトコンドリア標的シグナルがStarの機能に必須であることをはじめて証明した.
|