研究概要 |
本研究の目的は以下の3点である。(1)単一遺伝子病による遺伝性CHの頻度を明らかにする。(2)多因子遺伝病、すなわち複数の遺伝子の相互作用(例えばdigenic変異;異なる2つの遺伝子の同時変異による発症)による遺伝性CHの存在の有無を明らかにする。および(3)変異が証明された各遺伝子において変異遺伝子の機能をin vitroで解明する。 平成20年度には以下の成果を得た。 (1)TSHR, PAX8, TITF1, FOX1, NKX2-5, TG, TPO, NIS/SLC5A5, PDS/SLC26A4, DEHAL1の10遺伝子の全翻訳領域のPCR-ダイレクトシークエンス法による遺伝子解析系を確立した。 (2)単一遺伝子病による遺伝性CHの代表としてTSHR遺伝子異常症の頻度を明らかにした。すなわち、(1)本邦における両アリル性TSER変異の有病率は中等症〜重症CHの4%、一般人口の1/118,000である。(2)本邦における1アリル性変異の有病率は軽症CHの9%、一般人口の1/172である。(3)創始者変異R450Hが変異全体の70%を占める。 (3)多因子遺伝病、すなわち複数の遺伝子の相互作用による遺伝性CHの存在を現時点で証明できていない。 (4)新規TSHR変異遺伝子の機能をin vitroで解明した。すなわち、G132R、A204V、D403Nはいずれも細胞表面への125I-TSH結合能、およびTSH依存的cAMP産生能両者ともに低下しており、機能低下型変異であることを証明した。
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