研究概要 |
Galanin-like peptide(GALP)およびNeuromedin U(NMU)は摂食調節作用を有する新規の神経ペプチドとして注目されている。下垂体では、GALPは後葉(PP)に、NMUは前葉(AP)に限局して遺伝子発現が認められる。PPでのGALP遺伝子の発現は脱水や高浸透圧刺激で増加することが報告されており、GALPは浸透圧調節に関与することが示唆されている。一方、NMUはエネルギー代謝や下垂体前葉機能の調節に関与することが報告されている。しかし、どちらのペプチドも生後発達過程における下垂体での生理作用や遺伝子発現などの詳細は不明である。本研究は出生後発達過程におけるGALP及びNMUの生理作用を明らかにするために、出生当日から成熟期(出生後60日目)までのラット下垂体における遺伝子発現の生理的発現変動を検討した。【方法】妊娠後期のSpraque-Dawleyラットを飼育し、出生した仔ラットの下垂体を1,8,14,21,40及び60日目(各日令雌雄6匹ずつ)に摘出し、凍結切片を作成した。GALPとNMU遺伝子の発現をS^<35>でRI標識した合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたIn situハイブリダイゼーション法を用いて検討した。【結果】PPでのGALP遺伝子の発現は、出生後1日目から極少量認められ、出生後8日目までに有意に増加を認めた。その後は有意な変化は認められなかった。これに対しAPでのNMU遺伝子の発現は、1日目から認められ、8日目には減少した。14日目以後は発達に伴って増加する傾向が認められた。【考察】生後発達過程における下垂体でのGALP及びNMUの遺伝子発現はそれぞれにおいて特異的な発現動態の変動を示すことが判明した。下垂体での生理作用の発達と密接に関連することが示唆された。
|