研究課題/領域番号 |
20591241
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
照井 君典 弘前大学, 医学部・附属病院, 助教 (00333740)
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研究分担者 |
土岐 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50195731)
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キーワード | ダウン症候群 / 一過性骨髄増殖性疾患 / 急性巨核球性白血病 / JAK3 / 先天性白血病 / 自然寛解 |
研究概要 |
ダウン症候群でみられる一過性骨髄増殖性疾患(TMD)と急性巨核球性白血病(DS-AMKL)の細胞増殖機構における細胞内シグナル伝達物質JAK3の役割を明らかにするために、DS-AMKLの細胞株とTMD患者検体を用いてJAK3遺伝子変異の解析を行った。DS-AMKLの細胞株MGSにおいて、2種類のJAK3遺伝子変異(JAK3^<Q501H>、JAK3^<R657Q>)を見出した。Ba/F3細胞にこれらの変異遺伝子を導入したところ、サイトカイン非依存性の細胞増殖が認められ、これらの変異が活性化型変異であることを証明した。TMD11例中1例でJAK3の遺伝子変異(JAK3^<187T>)が認められ、この変異も活性化変異であった。MGSおよび変異遺伝子を導入したBa/F3細胞をJAK3阻害薬で処理したところ、細胞増殖の抑制が認められた。JAK3阻害薬が、JAK3変異を持つDS-AMKL、TMDに対する新規治療薬の有力な候補となりうることが示唆された。 先天性白血病患者の一部で、TMDと同様に自然寛解がみられることは以前より知られていたが、その機序はいまだに不明である。最近当科で経験したt(1 ; 16 ; 8)の染色体異常を持つ先天性急性骨髄性白血病の自然寛解例においてFISH法による解析を行ったところ、予後不良の成人AMLでみられる染色体異常t(8 ; 16)と同様に、MOZ遺伝子とCBP遺伝子が白血病の発症に関与していることが示唆された。RT-PCR法により2種類のMOZ-CBP融合遺伝子を検出したが、これらは今までに報告のない新規variantであった。形成される融合タンパクの構造の違いにより、白血病の生物学的性状、予後が大きく変わる可能性が示唆された。
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