研究概要 |
Jurkat細胞にHA-tagを付けたdominant negative MEKK2を恒常的に高発現させた変異細胞株を作成した。これらの細胞株はCD3+CD28共刺激によるJnk活性化が親株に比較して有意に抑制された。またIL2産生も低下することが示された。HA-tagに対する抗体を用いてMEKK2と共沈する有意な分子を検討したが、wild type, dominant negative typeとの比較で有意に異なるものは検出されなかった。また休止期T細胞と活性化T細胞でMEKK2と共役する分子を免疫沈降で検討したところ活性化T細胞でのみ共沈するものが認められた。 骨髄非破壊的前処置と骨髄破壊的前処置による造血幹細胞移植患者における血清中のサイトカイン等を経時的に測定した。骨髄非破壊的前処置では生着前にフェリチンが高値を呈する例があることが見られた。これはsIL2Rの上昇とは関連せず、T細胞非依存的な現象であると考えられた。一方、骨髄破壊的前処置例では生着前にフェリチンが上昇することは稀であった。生着前にフェリチン高値を呈した例では生着後に重症GVHDを呈することが多いことが示された。また、フェリチンが異常高値を呈した例では一過性重症心不全が認められた。フェリチンの産生細胞は残存するレシピエント抗原提示細胞と考えられる。以上のことからGVHDの治療ターゲットとしてT細胞のみならず、レシピエントの抗原提示細胞が重要である可能性が示唆された。今後はGVHD発症に関与する抗原提示細胞の機能制御についても検討を進める。
|