研究概要 |
Jurkat細胞にHA-tagを付けたdominant negative MEKK1およびMEKK2を恒常的に高発現させた変異細胞株を用いて以下の実験をおこなった。抗CD3+抗CD28で各々刺激しIL2産生能を測定するとともに細胞死についてAnnexin5発現により測定した。変異細胞株ではIL2産生は著しく低下していたが,細胞死については有意な差は認められなかった。さらにCsA(シクロスポリン)存在下に同様の検討を行なったが細胞死について優位な差は認められなかった。 プライマリT細胞と活性化T細胞をもちいて抗CD3+抗CD28刺激によりMAPKKであるSEK1のリン酸化を検討した。活性化T細胞ではSEK1が刺激前に既に弱くリン酸化しており,刺激によりリン酸化は増強した。刺激によるリン酸化はCsAにより抑制された。 単球系の培養細胞株であるU937を用いてLPSによる転写因子AP-1,NFkBの活性化をレポーターアッセイにより検討した。dominant negative MEKK1およびMEKK2強制発現により有意な影響はみられなかった。またCsA添加によっても影響を受けなかった。 カルシニューリン阻害剤(シクロスポリン/タクロリムス)使用患者の赤血球膜蛋白について検討した。薬剤使用患者の赤血球ではband3の発現低下が認められた。薬剤投与を中止した患者ではband3発現は正常化していた。患者における検討では薬剤開始後,数日から10日でband3発現に変化が認められた。In vitroで正常赤血球に薬剤を72時間作用させてもband3発現に影響はなかった。
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