本研究は急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia : ALL)や神経芽腫などの難治性小児悪性腫瘍に対して、臍帯血移植を含む同種移植におけるkiller cell immunoglobulin-like receptors(KIR)リガンド不一致ドナーの有用性および機構を明らかにし、移植成績の向上をめざすものである。 前年度、末梢血、臍帯血ドナーNK細胞の難治性白血病の1つである11q23型急性リンパ性白血病細胞株に対する細胞傷害活性を51Cr releasing assay法により測定したところ、KIRリガンド不一致ドナーが一致ドナーと比較して、より傷害活性が高いことを確認した。平成21年度は他の細胞株についても検討したところ、T細胞型急性リンパ性白血病がNK活性化型受容体NKG2Dのリガンドの発現が高かった。さらに、末梢血、臍帯血NK細胞によるT細胞型急性リンパ性白血病に対する傷害活性は極めて強く、KIRリガンド不一致ドナーを選択することにより、その効果がより増強することを確認した。また、この傷害活性はドナーのNKG2Dのblockingにより著明に抑制され、NKG2Dを介しての細胞傷害活性が強いことが推定された。以上より臍帯血、成人末梢血と同様に、11q23転座型ALLに対してだけでなく、T細胞型白血病に対してもドナーNK細胞によるGVL効果が期待される。
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