研究概要 |
本研究の目的は、2次性血球貪食症候群の発症病態へのT細胞抑制性補助シグナルの関与を明らかにすることである。平成21年度は感染症関連血球貪食症候群において1)CTLA-4遺伝子多型頻度が患者群とコントロール群で有意差があること,2)CTLA・4遺伝子多型で,T細胞抑制機能が弱くなる遺伝子多型を有する患者で血清LDH,可溶性IL2Rが高値をとること,を報告した(Acta Haematologica123;186-190).PD-1遺伝子多型,BTLA遺伝子多型については患者群とコントロール群で有意差はみられなかった.また,PD-1遺伝子多型,BTLA遺伝子多型と臨床検査値,臨床症状との相関について検討したが,有意差はみられなかった.これらの結果からT細胞抑制性補助シグナルのなかでCTLA-4が2次性血球貪食症候群に関与していることが明らかになった.解析症例数は58例となり,平成22年度はCTLA-4遺伝子多型についてDiplotype, haplotype解析を行いCTLA-4遺伝子多型の関与について詳しく検討する予定である.経過を通じて制御性T細胞の動態を解析できた症例は5例であるが,血球食食症候群の臨床経過と有意な相関はみられていない.平成22年度はCTLA-4遺伝子多型とトリプトファン代謝について検討し,T細胞抑制性補助シグナルがIDOを介して2次性血球食食症候群の病態に関与しているかどうか検討する予定である.
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