研究概要 |
小児白血病は小児の悪性腫瘍の中で最も頻度の高いものである。白血病の治療として用いられる化学療法剤は全て白血病細胞にアポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導することでその効果が発揮される。従って白血病細胞を用いた薬剤誘導性アポトーシスの研究からは、より効果的な化学療法剤の開発や薬剤耐性の克服に貢献する成果が期待される。本研究の目的はヒト白血病細胞株を用いてカスパーゼ遺伝子群、グルココルチコイド標的遺伝子をひとつずつ、更にできれば複数個ノックアウトした細胞株を作成し、グルココルチコイドを始めとする様々な刺激によって誘導されるアポトーシスがいかに変化するかを解析することである。本年度は以下に記す段階まで研究が進行した。 1.ターゲッティングベクターの作成:ヒト白血病細胞株Nalm-6から抽出したゲノムDNAをもとにPCRを行い、Invitrogen社のMultiSite Gateway Systemを用いてターゲッティングベクターを作製した。以下に列挙した遺伝子に関してターゲッティングベクターが作製された。 CASP2, CASP8, CASP9, CASP10, FKBP5, DSCR1, GZMA, GZMK 2.ターゲッティングベクターによる第一アレルのノックアウト:1.で作成したターゲッティングベクターをNalm-6細胞に導入した。翌日からハイグロマイシンを含む培地に替え、3-4週間で薬剤耐性クローンを得た。各耐性クローンの中からベクターが相同組換えを経て正しくゲノムに組み込まれているものをスクリーニングした。その結果以下の遺伝子に関して第一アレルのノックアウトまで進行した。CASP8, CASP10, DSCR1ターゲッティングベクターによる第二アレルのノックアウト:以下の遺伝子に関しては第二アレルのノックアウトまで進行した。CASP8, FKBP5
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