研究課題
1986年から2009年12月までに東海大学で染色体脆弱試験や遺伝子検索で診断されたFanconi貧血(FA)94例とFA以外の身体奇形(異常)を伴う骨髄不全症17例の臨床像と造血細胞移植成績の解析を行った。1.85例のファンコニ貧血の骨髄染色体分析を行い、28例に異常が認められ、25例がMyelodysplastic syndrome(MDS)/Acute Myeloid leukemia(AML)であった。1、3、7番染色体と複合型の異常が多く、3q異常を伴う症例では7番染色体や複合型異常と合併する傾向にあり、refractory anemia with excess of blasts(RAEB)/AMLへの移行例が多くみられた。RAEB/AMLへの移行例では前処置を強化しても移植後の再発が多くみられた。3q異常は通常のG-bandingでの検出が困難であり、FISHやSKY法での検査が有効で、RAEBに移行する前に造血細胞移植を行うことが望まれる。2.Fanconi貧血、Diamond-Blackfan貧血などの先天性骨髄不全を除いた身体異常を伴う分類不能型骨髄不全症候群の造血細胞移植の報告は少ない。再生不良性貧血9例とMDS8例に造血細胞移植が行われ、移植成績の向上が示された。身体異常を伴う再不貧では通常の再不貧移植の前処置やGVHD予防で十分対応が可能であり、良好な成績であるが、MDSEでは移植関連毒性や再発、二次がんなどの合併症が多くみられた。これらの疾患群ではMDSへ移行する頻度も高いと考えられ、前処置や支持療法に検討が必要である。移植後も固形腫瘍の発症頻度も高いと予想され注意深い経過観察が必要である。また、これらの疾患群の登録や免疫抑制剤等を含めた治療方針についても不明な点が多く、今後、成人症例も含めての解析が必要と考えられた。
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