研究課題
1. 2011年3月までに新たに13例の骨髄不全症の症例紹介があり、うちFanconi貧血(FA)4例を染色体解析および遺伝子検査を含めた解析で診断した。2例はdyskeratosis congenital(DC)、2例は分類不能先天性骨髄不全症(CBMFS)であった。造血細胞移植(HSCT)はFA:1例、DC:2例の3例に行われた。FA症例の移植後の出産例を報告した。2. 皮膚・骨髄の線維芽細胞培養はFAやDCの各2症例で行われ、東海大学の研究資源バンクで保存を行った。3. 小児・青年期発症の再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄不全症における急性骨髄性白血病(AML)や固形腫瘍の発癌について検討しFAが91例、FA以外のCBMFSが34例、20歳までに発症した後天性骨髄不全症(ABMFS)が64例で、計189例を対象とした。FA群の91例中28例がMDSを発症し、うち8例がAMLへ進行した。82例がHSCT(中央値8.7歳)をうけ、4例のMDS/AML例を含む7例が移植後に固形腫瘍を発症した(移植後10ヶ月:子宮頚部上皮内癌、11ヶ月:Tリンパ腫、8年:舌癌、12年:肝癌、12年:褐色細胞腫、13年:口腔内癌、12年:食道癌+15年:舌癌)。CBMFS群の34例中12例がMDSを発症したが、AMLへ進行した例はみられなかった。2例がAAを発症した後に固形腫瘍を発症し(15歳:脳腫瘍、28歳:舌癌)、その後MDSを合併した。24例にHSCT(中央値6.3歳)が施行され、MDS症例の1例が移植後に固形腫瘍を発症した(移植後1年:脳腫瘍)。ABMFS群では64例中10例にMDSを認め、その8例がSAAから移行した。6例は免疫抑制剤使用後で、5例にモノソミー7の染色体異常がみられ、うち1例がAMLへ進行した。別のSAA症例の1例が固形腫瘍を発症し(16歳:直腸癌)、ほぼ同時期にMDSを合併した。HSCT(中央値12.4歳)は60例に行われ、移植後の固形腫瘍は認めていない。小児・青年期発症の骨髄不全症においては、先天性群でAMLや固形腫瘍のリスクが高く、MDS発症例での固形腫瘍の合併が多くみられた。移植後も二次癌の可能性をふまえたフォローアップ体制が重要である。
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