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2008 年度 実績報告書

ダウン症児における一過性骨髄増殖症の自然治癒機構に関する分子・細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20591263
研究機関東京歯科大学

研究代表者

宮内 潤  東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20146707)

研究分担者 川口 裕之  東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00313130)
キーワードダウン症候群 / 一過性骨髄増殖症 / 造血因子 / 造血微小環境 / 分化 / 白血病
研究概要

ダウン症児における一過性骨髄増殖症(TMD)の自然治癒機構における造血微小環境の果たす役割を解析した。胎児肝にて発症すると考えられるTMDにおいて、芽球の増殖が胎児肝という特殊な微小環境に依存しているか否かを調べる目的で、人工中絶胎児から得られた肝臓と骨髄に由来する間質細胞の存在下で、TMDの芽球を共培養したところ、胎児肝の間質細胞の存在下で、TMDの芽球の増殖が維持されたが、骨髄由来の間質細胞にはこの作用はきわめて微弱であった。したがって、TMDの芽球増殖は胎児肝の造血微小環境に依存していることが示され、生後に肝臓から骨髄に造血の場が移行することが自然治癒に関わる可能性が示唆された。TMDという疾患が無治療で自然に治癒する機序はこれまで不明であったが、今回の研究にて、胎児期から出生後にかけての造血微小環境の変化が大きく関わることが、はじめて実験的に示された。次に造血微小環境から産生される造血因子の作用を解析した。Inter-leukin-3(IL-3), stem cell factor (SCF), granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF)の3者がTMDの芽球に対してつよい増殖刺激作用を有し、同時に好塩基球と肥満細胞という特殊な系統の血球に分化を誘導することが示された。またthrombopoietin (TPO)は、増殖刺激作用は弱いながら巨核球への分化をつよく誘導することが証明された。TMDの自然治癒にはTMDの芽球の分化が関与することも示され、これに深く関与する造血因子が特定された。今回、TMDという小児の特殊な白血病の自然治癒機構の一端が示されたが、これらのデータは将来の新しいがん治療法開発の一つの鍵になりうるものと考える。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Fulminant hepatic failure as the initial manifestation of small-cell lung cancer : Report of 2 cases.2008

    • 著者名/発表者名
      Terashima T, Matsuzaki T, Ogawa R, Naitou A, Inokuchi S, Kaida S, Kishikawa H, Nishida J, Tanaka Y, Miyauchi J, Morishita T, Ishizaka A
    • 雑誌名

      Ann. Cancer Res. Therap. 16

      ページ: 16-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 乳幼児白血病の発症機序.2008

    • 著者名/発表者名
      宮内 潤, 川口裕之
    • 雑誌名

      病理と臨床 26

      ページ: 922-927

  • [雑誌論文] 逆流性食道炎による著明な食道狭窄により食道亜全摘を施行した一例(病理解説).2008

    • 著者名/発表者名
      松本晶, 小村伸朗, 遠山洋一, 中田浩二, 矢野文章, 柳澤暁, 小林進, 宮内 潤
    • 雑誌名

      千葉消化器疾患研究会抄録集 III

      ページ: 11-14

  • [雑誌論文] 膵癌疑いにて膵体尾部切除を施行した1例(病理解説).2008

    • 著者名/発表者名
      庭瀬亜香, 小林進, 高山亘, 矢野圭子, 菅谷睦, 角田慎輔, 黄哲守, 宮内 潤
    • 雑誌名

      千葉消化器疾患研究会抄録集 III

      ページ: 84-87

  • [雑誌論文] 大腿部Spitzoid melanomaの1例.2008

    • 著者名/発表者名
      宮内 潤, 赤塚誠哉
    • 雑誌名

      小児がん 45

      ページ: 183

  • [雑誌論文] Primary cutaneous ALCL with phosphorylated/activated cytoplasmic ALK and novel phenotype : EMA/MUC1+, cutaneous lymphocyte antigen negative.2008

    • 著者名/発表者名
      Kadin ME, Pinkus JL, Pinkus GS, Duran IH, Fuller CE, Oneiu M, Kawaguchi H, Morris SW
    • 雑誌名

      Am J Surg Pathol. 32

      ページ: 1421-1426

    • 査読あり
  • [学会発表] Transient abnormal myelopoiesis (TAM)の死産児の一剖検例.2008

    • 著者名/発表者名
      石垣宏仁, 横江章, 別所美佐子, 伊藤靖, 小笠原一誠, 岸本宏志, 宮内 潤
    • 学会等名
      第28回日本小児病理研究会
    • 発表場所
      松本市
    • 年月日
      2008-09-06
  • [学会発表] 子宮筋腫手術にて偶発的に発見された乳癌の卵巣転移の一例.2008

    • 著者名/発表者名
      森定 徹, 岸見有紗, 松岡美杉, 西村修, 宮越敬, 大久保和美, 福井谷達郎, 竹島薫, 宮内 潤
    • 学会等名
      日本婦人科腫瘍学会学術講演会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2008-07-17
  • [学会発表] ダウン症児における一過性骨髄増殖症の自然治癒機構の解析 : 造血微小環境の関与について.2008

    • 著者名/発表者名
      宮内 潤
    • 学会等名
      第97回日本病理学会総会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      2008-05-16
  • [図書] 西村書店(東京)2008

    • 著者名/発表者名
      宮内潤(分担執筆)
    • 総ページ数
      138-148
    • 出版者
      「小児のMDSおよびMDS/MPD」、定平吉都(編) : 「わかりやすい骨髄病理診断学 : 吸引クロット、生検組織の見方」
  • [図書] 西村書店(東京)2008

    • 著者名/発表者名
      宮内潤(分担執筆)
    • 総ページ数
      234-237
    • 出版者
      「組織球症」、定平吉都(編) : 「わかりやすい骨髄病理診断学 : 吸引クロット、生検組織の見方」

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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