研究課題/領域番号 |
20591264
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
槍澤 大樹 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30337133)
|
研究分担者 |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70221207)
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70107762)
|
キーワード | 遺伝子治療 / レンチウイルスベクター / ピルビン酸キナーゼ異常症 / siRNA |
研究概要 |
遺伝性疾患に対する、より効果的な遺伝子治療法開発のために、ピルビン酸キナーゼ(PK)異常症を対象とした新たなレンチウイルスベクターを作成した。本ベクターからは、変異PK(Gly338Asp)のmRNAを標的としたshort interfering RNA(siRNA)と、siRNA標的部分に該当する複数の正常コドンをサイレント変異させ、正常PK蛋白をコードするsiRNA抵抗性のmRNAを同時に発現させることが可能であり、変異PK蛋白を正常PK蛋白によって置き換えることが可能である。PK変異を有する細胞内では、変異PK蛋白はドミナントネガティブ効果により正常PK蛋白の機能を阻害するため、本ベクターを用いて遺伝子導入を行うことにより、正常PK蛋白のみを発現させる場合に比べてより少ないウイルスで効果的に治療効果が得られることが予想される。本年度は自然発症のPK異常症(Gly338Asp)のモデルであるPk-1^<slc>マウスを用いた遺伝子治療の準備を進めた。当初より目的とするレンチウイルスの力価が低く良好な感染効率が得られなかったため、ベクタープラスミドとヘルパープラスミドの至適な比率について検討したが著明な改善は認められず、理由として多機能のベクターを構築したためそのサイズが大きくパッケージング効率が低下していることが考えられた。ウイルスのエンベロープについてはVesicular stomatitis virus(VSV)-GとRD114ウイルスのものを用いて比較検討したところ細胞株に対する感染能力には大きな違いは認められなかった。RD114は造血幹細胞(HSC)に対する親和性と特異性が高いことが報告されており、実際にマウスのHSC細胞群であるLSK細胞(Lin-、Sca1+、c-kit+)ではRD114を用いたウイルスがやや高い感染効率を示した。
|