小児期から成人へ成長する過程において、末梢血中のリンパ球群の割合およびそれらの機能が変化することはよく知られている。肝疾患の病態を理解するうえで、肝臓内に存在するリンパ球の解析が重要であることは疑いの余地はなく、本研究の大きな目的である。 本年度は、自己免疫疾患に重要な役割を果たす自己抗体およびその産生細胞であるB-1細胞について、加齢によってどのような変化を示すかを解析した。 6〜10週齢マウスの肝臓において、B細胞の大部分はB220^<high>であるが、新生仔マウスの肝臓においては、B細胞の大部分はB220^<low>であった。表面抗原の解析により、この新生仔マウスに見られるB220^<low>のB細胞は、自己抗体産生細胞であるB-1細胞に類似した表面抗原を発現していることが明らかになった。さらに、このB-1 like細胞は、in vitroでのLPS刺激に対して自己抗体を産生することも明らかになった。実際、新生仔マウスの血清中には、自己抗体が高濃度で存在していることも明らかになった。以上より、新生仔マウスの肝臓には自己抗体産生B-1 like細胞が存在し、新生時期の免疫能の調整に関与している可能性が示唆された。
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