研究概要 |
1、シャペロン蛋白HSP47のIV型コラーゲンα3、α4、α5鎖におけるヘテロ三量体形成への関与について前年に引き続き解析した。HSP47のsiRNAを発現するプラスミドをα345細胞(α3(IV),α4(IV),α5(IV)鎖を強発現するHEK293細胞)に導入しHSP47の発現を10%程度にまで減弱させた細胞株を樹立した。この細胞株ではヘテロ三量体形成が不良となり、この複合体形成にはHSP47が必須であると考えられた。 2、α5(IV)鎖コラーゲンドメインの変異のうち末期腎不全に若年で至る6種類、比較的遅く腎不全に陥る6種類、それらのいずれかを有する変異COL4A5cDNAを作成しα34細胞に導入した。12種類の変異α5(IV)鎖のうち、4種類ではヘテロ三量体を形成せず、5種類では形成が減弱、3種類では形成に異常を認めなかった。これらの複合体形成のパターンと臨床症状との間の相関は明らかでなかった。形成された複合体のプロテアーゼ抵抗性、及び変異α5(IV)鎖の複合体形成に対するHSP47の効果について解析を加えている。 3、腎症状の進展が緩徐で腎外症状を欠き、腎組織でもα3,4,5鎖が残存する家系において最近報告されたCOL4A5NC1ドメインでのC1638Y変異について解析した。この変異を有するα5(IV)鎖は、微量であるが三鎖複合体を形成し細胞外にも分泌していた。また、HSP47を過剰に発現させてもこの変異α5(IV)鎖の複合体形成に変化はなかった。
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