研究課題/領域番号 |
20591281
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
野村 裕一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (90237884)
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研究分担者 |
西 順一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40295241)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
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キーワード | 川崎病 / HMGB1 / 重症度評価 / 免疫グロブリン大量療法 / 免疫グロブリン療法不応 / 冠動脈後遺症 |
研究概要 |
臨床検査値を基にしたスクリーニングスコア(Gunmaスコア)と炎症と細胞障害の悪循環に関連するHigh Mobility Group Box1(HMGB1)を併せた免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応例スクリーニングを対象症例を増やして検討を行った。 【方法】川崎病患児のIVIG前の血清を用いてHMGB1値をELISA法で測定した。川崎病患児は初回IVIGで軽快した児をIVIG反応例(反応例)とし、追加治療を必要とした児をIVIG不応例(不応例)として2群に分け、Aspirinのみで治療された22例を除外して検討した。【結果】治療前の血清HMGB1値が測定されたのは166例だった。IVIG不応例が23例、IVIG反応例が143例で両群の性別、年齢に差はなかった。川崎病の診断病日、IVIG開始病日、IVIG量には差がなかったが、IVIG後の発熱期間は不応例が有意に長期間で、冠動脈後遺症(CAA)頻度も有意に高頻度だった。入院時検査所見は、不応例で白血球数、好中球%、AST、AST、LD、CRPが有意に高値で、Alb、Naが有意に低値だった。不応例のHMGB1値やGunmaスコアは有意に高値だった。IVIG不応スクリーニングとしてGunmaスコア4点以上を予測不応例とすると、その鋭敏度は65%、特異度は63%、精度63%だった。ROC解析から得られたHMGB1値のカットオフ値(16ng/ml)以上を予測不応例とすると、鋭敏度43%、特異度78%、精度73%だった。Gunmaスコア5点以上あるいはHMGB1高値を予測不応例とすると鋭敏度74%、特異度62%、精度63%と精度の低下はなく感度が向上した。【結論】IVIG治療不応例スクリーニングにはGunmaスコアとHMGB1高値による評価が有用である。【研究の意義】CAA頻度の更なる改善には、CAA発生頻度が高率であるIVIGに反応しない重症例をスクリーニングし、それらの症例において新たな治療戦略を検討する必要性がある。そのためにも本研究のように精度の高いIVIG不応スクリーニング法の開発を検討することは意義深いものと考えられる。
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