研究課題
腸管凝集性大腸菌(EAEC)の外膜表層蛋白Aapを標的としたイムノクロマト法による迅速診断法の開発を目的として、今年度はそれに必要な抗Aap抗体の作成を行い、その有効性を検討した。1) リコンビナントAap蛋白の作成EAECプロタイプ042株のDNAからHis標識したAap遺伝子を増幅、発現プラスミドに組み込み大腸菌内でAap蛋白を発現させた。抗His抗体を付着させたカラムを作成し、リコンビナントAap蛋白を精製した。2) 抗Aap抗体の作成リコンビナントAap蛋白を抗原としてウサギを免疫、回収した血清からAap付着カラムを用いて抗Aap抗体を精製した。3)抗Aap抗体の検定042株の培養上清中にみられるAapを標的として、ウェスタンブロッティングで作成した抗Aap抗体の反応性を検討し、特異的に結合したバンドが観察された。この間、Aapが腸管凝集性大腸菌に特異的ではなく、他の大腸菌でもその遺伝子がみられるという報告があった。われわれが目指している診断法の特異性に関わってくるため、他の大腸菌におけるAap遺伝子の有無をPCR法で確認した。1200株の下痢原性大腸菌以外の大腸菌から15株のAap遺伝子陽性株を検出し、それぞれシークエンスを行い確認した。Aap遺伝子発現の有無をみるため、作成した抗Aap抗体を用いたウェスタンブロッティングを行ったが、それらの株には反応はみられなかった。従って、Aap遺伝子を保有していても蛋白発現がない可能性が示唆され、抗Aap抗体のEAEC特異性は変わらないことがわかった。
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