研究課題/領域番号 |
20591286
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
粟津 緑 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20129315)
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研究分担者 |
飛彈 麻里子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (20276306)
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キーワード | 母体低栄養 / シグナル伝達 / ネフロン数 / プログラミング / 腎発生 / MAPキナーゼ / βカテニン / PI3キナーゼ |
研究概要 |
母体低栄養によりネフロン数は減少し高血圧をきたすが詳細な機序は不明である。そこで腎発生において重要な役割をはたすシグナル分子ERK、 p38、 PI3K、 Akt、βカテニンの活性、発現を検討した。 母体低栄養ラット(NR)の体重、腎表面積(胎生15日)または腎重量および腎重量/体重比(胎生18日、生後1日)は対照に比し減少していた。胎生18日のNRのネフロン数は減少しており髄質は低形成であった。しかし予想に反し、胎生18日のNRにおけるリン酸化活性型ERK、 p38、 PI3K、 Akt (P-ERK、P-p38、 P-PI3K、 P-Akt)、βカテニンの発現は増加していた。 この原因として第一にNRの腎の発達の遅れによる可能性が考えられた。対照、NRのシグナル分子の発現の差は成長とともに減弱し生後7-15日には消失した。同時期に腎サイズ、マクロの形態学的差も認められなくなった。しかしネフロン形成は両者とも生後12日には終止し、NRのネフロン数減少のcatch upはみられなかった。 第二に胎生18日におけるシグナル伝達系の活性化がそれ以前に生じた腎、ネフロン形成抑制に対する代償反応である可能性が考えられた。より早期の胎生15日においてはNRのP-ERK、 P-p38、 P-PI3K、 P-Akt、βカテニン発現は減少しており、その結果生じる腎、ネフロン形成抑制に対し代償機構が働き胎生18日におけるシグナル伝達系の活性化が生じている可能性が示唆された。
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