母体低栄養胎仔腎はサイズ、尿管芽分岐数が対照に比し減少している。生後7日で腎サイズは対照と同等となるが、生後4週におけるネフロン数は対照の80%であった。糸球体が形成されるnephrogenic zoneは対照と同様に生後12日には消失し、糸球体の前駆細胞であるcap mesenchymeのマーカーCited 1の発現も対照腎と同様生後3日で消失した。したがって母体低栄養腎では尿管芽分岐が抑制されているにもかかわらずネフロン形成終止時期は延長されないため、ネフロン数減少を来すと考えられた。 胎生15日にはDNA/腎(細胞数のマーカー)、蛋白/DNA(細胞サイズのマーカー)ともに有意差はなかったが、胎生18日には両者とも母体低栄養腎で対照に比し低値であり、母体低栄養胎仔腎のサイズ減少は細胞数、細胞サイズ減少両者によることが明らかになった。 母体低栄養胎仔腎で腎発生に重要なシグナル伝達経路は胎生15日には抑制、18日には活性化されているが、アポトーシスのマーカーとして評価した活性型caspase3は両時期ともに母体低栄養で発現が減少する。Caspase3阻害薬下に培養された後腎は腎サイズ、尿管芽分岐が減少し、母体低栄養腎に類似することから、培養尿管芽細胞を用い腎発生におけるcaspase3の役割を検討した。Caspase3阻害薬は尿管芽細胞のcord formation、遊走を阻害したが、アポトーシス、細胞数には影響しなかった。Caspase3が細胞運動を介し尿管芽分岐を促進する可能性、また母体低栄養腎におけるネフロン数減少がcaspase3活性の低下による可能性が考えられた。
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