研究課題
平成20年度末までの研究に加えて、急性期川崎病患者追加4例と、遠隔期の川崎病患者17例(遠隔期KD)と、健常対象25例(遠隔対照)について解析した。急性期川崎病群は入院時、ガンマグロブリン静注後、発症1ヵ月後、有熱対照群は入院時、健常群は受診時に、遠隔期KDと遠隔対照も受診時に採血した。3カラーフローサイトメトリーにより流血中の、骨髄前駆細胞由来樹状細胞(mDCs)およびリンパ系前駆細胞由来樹状細胞(pDCs)を測定し、同時に血液生化学検査を行った。各群間で樹状細胞分画、絶対数を比較すると共に川崎病群では3時点で比較した。樹状細胞の絶対数と相関する属性因子や血液生化学検査値ついて検討した。具体的な成果:急性期においては、流血中のpDCsの数は群間で有意差は無かったが、mDCsの数は川崎病群が有熱対照や健常群の2群よりも有意に少なかった。この川崎病群の少ないmDCsはガンマグロブリン療法によりすぐに正常化したが、pDCsは徐々に正常化した。流血中のmDCsの数は、CRPと負の相関を示す一方、血清アルブミン値と正の相関を示した。遠隔期の検討では、流血中のmDCsやpDCsの割合、絶対数に有意差は無かったが、活性型のpDCsの数は遠隔期川崎病に多い傾向を認めた。意義と重要性:1)川崎病急性期に流血中の樹状細胞、特にmDCsが、他の有熱疾患や健常児に比べて有意に低下していること、2)この末梢血中のmDCxが、CRPやアルブミン値などの川崎病の重症度と相関すること、そして3)末梢血中のmDCsが免疫グロブリン大量療法により急激に正常化していることを発見した。4)一方、遠隔期においては、総数としての樹状細胞数に差は無く、川崎病群で活性型pDCsが増えている可能性が示唆された。今後は、樹状細胞の動態に関わるケモカインやサイトカインの動態を調べることで、川崎病の病態が明らかになるとともに、新たな治療法の開発につながる。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (14件)
Int J Cardiol 133
ページ: 417-419
Circ J 73
ページ: 1319-23
J Cardiology 54
ページ: 45-51
Eur J Cardiovasc Surg 35
ページ: 1083-1085
Pediatr Cardiol 30
ページ: 1109-1191
Geriatr Gerontol Int 9
ページ: 329-332
日本周産期・新生児学会雑誌 45
ページ: 833-887
巨大冠動脈瘤 : 自然歴. 小児科ピクシス9 川崎病のすべて(中山書店)
ページ: 137-8
J Cardiol Cases (in press)
J Am Coll Cardiol (in press)