研究課題/領域番号 |
20591291
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
須田 憲治 久留米大学, 医学部, 准教授 (10399173)
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研究分担者 |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
安川 秀雄 久留米大学, 医学部, 講師 (60289361)
家村 素史 久留米大学, 医学部, 助教 (30399175)
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キーワード | 川崎病 / 樹状細胞 / サイトカイン / ケモカイン |
研究概要 |
これまでの研究から急性期川崎病患者では、有熱対照や健常対照と比較して、末梢血の樹状細胞が有意に低下していること、これはCRPやアルブミンなどの重症度を表す血液生化学的検査と相関していること、この樹状細胞数はガンマグロブリン療法により正常化することが分かった。本年度はサイトメトリックビーズアレイにより、急性期川崎病患者、有熱対照、健常対照の3群と、川崎病患者では治療後の血清中のサイトカインとケモカインの動態を調べた。各群間でサイトカイン、ケモカインの値を比較すると共に川崎病群では3時点で比較し、樹状細胞の絶対数と相関するサイトカイン、ケモカインついて検討した。 具体的な成果:川崎病急性期には、インターリューキン(IL)-6、IL-8、IL-10は増加している一方、IL-12やIL-1βは増加していなかった。この増加したIL-6、IL-8、IL-10はガンマグロブリン療法により、すみやかに低下した。一方、ケモカインの中でCCL2、CXCL9、CXCL10は急性期に増加しており、ガンマグロブリン療法により、すみやかに低下した。増加したサイトカインのうち、IL-6の値が末梢血樹状細胞数と最もよく負の相関を示し、ケモカインにおいてはCXCL9が最もよく負の相関を示した。 意義と重要性:1)川崎病急性期に流血中の樹状細胞、特にmDCsが、他の有熱疾患や健常児に比べて有意に低下していること、2)この末梢血中のmDCsが、CRPやアルブミン値などと同様にIL-6の値といった川崎病の重症度と相関すること、そして3)末梢血中のmDCs減少する時には複数のケモカインが上昇していることが分かった。今後は、この樹状細胞の動態とシグナルを受ける側であるリンパ球T細胞の動態や、In vitroでのこれらサイトカインやケモカインの増加と樹状細胞の関係について調べることで、川崎病の病態が明らかになるとともに、新たな治療法の開発につながる。
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