研究概要 |
研究代表者らが作成した診断指針(Amer J Hematol,80:64-69,2005)を用い、慢性活動性EBウイルス(EBV)感染症患者の検討を行い、以下の主な結果を得た。 1.PCR法による末梢血単核球および組織(主にリンパ節)におけるEBVゲノムは、全例で同定された。加えて、末梢血単核球でのコピー数は著しい増加をみた。2.EBVゲノム陽性細胞における潜在関連抗原の発現は、EBV-determined nuclear antigen(EBNA)-1およびlatent membrane proteins(LMPs)が陽性であった。また、主なEBV感染細胞は、NK細胞あるいはT細胞であった。3.これらの細胞では、EBV増殖関連抗原(viral capsid antigenおよびearly antigen)の発現を認めなかった。4.末梢血および組織では、共通する特異な染色体異常を認めなかった。5.末梢血単核球自然培養系では、前記2の抗原発現が、経時的に減少した。6.末梢血単核球IL-2添加培養系では、前記2の抗原発現の経時的増加を認め、EBV陽性細胞株が樹立した。7.臍帯血単核球との混合培養では、株化は認められなかった。 なお、対照としたEBV抗体陽性健康人では、末梢血単核球においてEBVゲノムを認めなかった。末梢血単核球自然培養、臍帯血単核球との混合培養でもEBV陽性細胞株は樹立されなかった。加えて、主な免疫学的解析では、対照としたEBV抗体陽性健康人ではいずれもGranzyme B、IL-12、インターフェロン-ガンマの発現を伴うEBV特異的細胞障害性Tリンパ球およびNK細胞活性を認めたが、患者では、Granzyme Bの発現は低下し、NK細胞活性も低値であった。この結果は、従来の検討結果に相応し、慢性活動性EBV感染症患者における一般的な病態を反映しているものと思われた。
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