研究課題/領域番号 |
20591293
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
綱脇 祥子 独立行政法人国立成育医療研究センター, 母児感染研究部, 室長 (00211384)
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研究分担者 |
守屋 美恵 独立行政法人国立成育医療研究センター, 母児感染研究部, 共同研究員 (60470001)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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キーワード | 好中球 / 志賀毒素 / スフィゴ糖脂質 / 細菌 / 溶血尿毒素 |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)は、小児の出血性大腸炎に於ける主要病原菌であり、溶血性尿毒症(HUS)や脳症を引き起こす。EHECは2種類の志賀毒素(Stx1およびStx2)を産生し、Stxsは体循環を経て標的組織に傷害を引き起こす。腎糸球体血管内皮細胞や尿細管上皮細胞は、Stxsに強い親和性を示すスフィンゴ糖脂質Gb3を高発現しているため感受性が高く、標的細胞になる。しかし、腸管から標的組織へのStxsの輸送機構は明らかでない。HUS患者の血漿中に遊離型Stxsが検出されないことから、Stxsの運搬を担う血球の可能性が指摘されていた。昨年度までに、Stx1およびStx2が抹消血球中顆粒球(殆ど好中球)とのみ結合し、リンパ球、単球、赤血球には殆ど結合しないことを報告した。そして、好中球に存在するStxsレセプターを同定した。 本年度は、質量分析を用いて構造解析を行い、好中球のStxsレセプターがGb3と異なりLacCerであることを明らかにした。好中球にGb3は発現しておらず、他にStxsと結合するレセプターも存在しなかった。次に、Stxsの細胞内動態を解析した。標的細胞のGb3に結合したStxsは、逆行性輸送によりrRNAへ到達してこれを切断して組織傷害を引き起こす。一方、マクロファージはStxsを細胞内のリソソームに取り込んで分解する。そこで、好中球でのStxs細胞内輸送を解析した結果、リソソームへは移行せず最終的に核に取り込まれた。Brefeldin Aでゴルジ体輸送を阻害しても核への輸送は阻害されなかった。HUS患者の腸管では多くの浸潤好中球が観察されている。好中球は、その細胞特性としてタンパク質合成系が未発達であるため、rRNAを標的とするStxsの攻撃は受けにくく、腸管バリアーでStxsと結合した好中球は循環系を介して標的細胞へStxsを運搬すると考えられる。
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