早産児の副腎はコルチゾール産生能の低い胎児層の退縮が遅れ、束状層の成熟が遅いため副腎不全に陥りやすいと考えられている。一方、子宮内感染は臨床的に胎児を成熟させることを経験するが、子宮内感染が早産児の胎児層退縮にどのよう影響しているかは不明な点が多い。早産児の尿中ステロイドを測定し、子宮内感染が早産児の副腎機能に与える影響を検討した。 方法は2005年12月から2008年12月までに旭川医科大学病院と旭川厚生病院に入院した在胎期間30週以下のAGAの早産児のうち、生後早期から尿検体を採取できた30名を対象に子宮内感染あり(11名)、なし(19名)の二群で、生後48時間以内、1週、2週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月の尿を用いてLC-MSIMSを用いて尿中ステロイドを測定した。 二群間で在胎期間、出生体重に差を認めなかったが、子宮内感染あり群で有意に女児、経産が多く、RDSの罹患率が高かった。また、コルチゾール代謝物の(THF+alloTHF)は二群間で差を認めなかったが、DHEAは生後1、2週において子宮内感染あり群がなし群より有意に高値だった(生後1週;14.6±19.1vs.2.5±3.9、p=0.005、生後2週;9.5±11.3vs.1.3±1.4、p=0.006)。 子宮内感染あり群で胎児層由来のホルモンが高値で、両群にコルチゾール代謝物に違いを認めないことから、子宮内感染は胎児層退縮を促しておらず、視床下部-下垂体からの副腎刺激が充進していることが示唆された。
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