研究課題/領域番号 |
20591299
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
磯部 健一 香川大学, 医学部, 准教授 (00159815)
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研究分担者 |
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
河田 興 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40284369)
大久保 賢介 香川大学, 医学部, 助教 (80335851)
久保井 徹 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00437683)
中村 信嗣 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (30437686)
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キーワード | 貧血 / 脳内酸素化状態 / 脳血液量 / 近赤外線分光法 / 時間分解分光装置 / 新生児 / 未熟児 / 新生仔豚 |
研究概要 |
基礎的研究として急性貧血モデルの新生仔豚における脳内酸素化・循環状態の変化と生理学的パラメーターの変化との関係および低出生体重児を対象とする臨床研究を行った。(対象および方法)1.生後24時間以内の新生仔豚5頭を用いた。5%ブタアルブミン溶液による血液希釈を4回行い貧血状態にせしめ、近赤外線時間分解分光装置(TRS)を用いて、脳内の酸素化ヘモグロビン(Hb)(oxyHb)、脱酸素化Hb(deoxyHb)、総Hb(T-Hb)濃度と脳血液量(CBV)の測定および動脈血血液ガス分析、Hb、ヘマトクリット(Ht)の測定を行った。2.臨床的検討として、未熟児貧血の輸血時におけるCBVの変化を測定し、脳循環に与える影響を検討した。(結果および考察)1.急性貧血モデル豚について、(1)動脈血のHb濃度と脳内の酸素化Hbおよび総Hbの間に各々有意な正の相関を認めた。脳内の脱酸素化HbはHtが約20%、Hb濃度が約7g/d1までは殆ど一定で、それ以下で有意に低下した。(2)CBVは動脈血のHb濃度が約8g/dL以下になると増加した。(3)脳内Hb酸素飽和度は動脈血のHtおよびHbとの間に各々有意な正の相関(r=0.82,0.82,両者ともp<0.0001)を示した。以上の成績より、TRSによって貧血時の脳循環・酸素化状態を正確に評価できる可能性が示唆された。2.在胎41週2日、出生体重2206gの1例について。日齢58にHb6.8g/d1でMAP血20mL/kgを輸血した。終了時にHb濃度は13.0g/dに増加した。CBVは、輸血前の4.4mL/100gから輸血後3.1mL/100gへ減少した。輸血により、CBVが減少することが確認され、貧血の進行に伴ってCBVが増大する代償機構が推測された。今後測定症例を増やし、この代償機構を発達的に検討する必要が考えられた。
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