研究課題/領域番号 |
20591303
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
新宅 治夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00206319)
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研究分担者 |
藤岡 弘季 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 登録医 (70382083)
山野 恒一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20093172)
塩見 進 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170848)
山口 悦子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 病院講師 (60369684)
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キーワード | 新生児低酸素性虚血性脳症 / ビオプテリン / 一酸化窒素合成酵素 / マイクロペット / 活性酸素 / 新生児仮死 |
研究概要 |
新生児の低酸素性虚血性脳症(HIE)は痙性対麻痺や他の神経学的後遺症を起こす予後不良な疾患であるが、病態の解明と有効な治療法の開発が望まれている。我々は新生仔ブタを用いたHIEモデルで、急性期の中枢神経系に誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)が発現し、血漿中ビオプテリン濃度が急激に上昇することを発見し、一酸化窒素(NO)はHIEに関与していることを明らかにした。低体温療法は、HIEに対する新しい治療法として最近注目されているが、我々はこの新生仔ブタHIEモデルを用いてテトラヒドロビオプテリン(BH4)と低体温療法が脳と他の臓器に及ぼす影響を検討している。さらにmicro positron emission tomography (マイクロペット)装置を用いてHIE発症の経過を糖代謝の変動を通して経時的に観察し、機能低下を定量的に測定する研究を行っている。本研究の目的はマイクロペットを用いた低酸素性虚血性脳症の病態解明と治療法の開発であるが、まず平成20年度はBH4の不足がHIEの発症に関わる病態解明するためBH4補充療法の開発を行った。BH4を静脈内に1時間当たり1mg/kgの割合でコントロール群とHIE群に4時間投与したところコントロール群では脳内のビオプテリン値に変化はなかったが、HIE群では脳内のビオプテリン値に有意の上昇を認めた。従来、脳に対するBH4補充療法は脳血液関門に阻まれ無効と考えられていたが、今回の実験でHIE群では脳血液関門を通過してBH4が脳内に移行するためBH4の補充療法が有効である可能性が示唆された。これまで一般に不可能と考えられていた脳内のBH4が低下している患者の脳に外部からBH4を投与し補充する治療法は、今回の研究からHIEの患者ではBH4が容易に脳血液関門を通過するためBH4の補充療法が可能であることを示したもので非常に重要な成果が得られた。
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