研究課題
1.新生児慢性肺疾患は早産に続発する。今年度は、原因の多くが不明であったわが国における感染性早産の起因微生物の探索を行い、ウレアプラズマ属細菌(ウレアプラズマ)が病理的な絨毛膜羊膜炎(CAM)と関連することを疫学的に示し、さらに特徴的な病理像も見出し報告した。1)32週未満の151胎盤を前方視的な検討で、42%(63胎盤)からウレアプラズマ属細菌が分離培養・同定された。ウレアプラズマ陽性群(63胎盤)のうち病理的なCAMを示したものは83%(52胎盤)であった。一方、ウレアプラズマ陰生群(88胎盤)のうち30%(26胎盤)にCAMを認めた(p<0.01)。ウレアプラズマ培養陽性は独立したCAMのリスク因子であった(OR,11.27)。2)病理的な解析で、ウレアプラズマ培養陽性CAMには、好中球が羊膜及び絨毛膜下に二層性に浸潤しており、ウレアプラズマ特徴的な病理所見と考えられた。FISHによる解析の結果、羊膜及び絨毛膜下に二層性浸潤した好中球は共に母体由来であることが示されたが、胎盤静脈周囲に浸潤した好中球は胎児由来であった。2.臨床的に感染性早産の多くは無症候性に進行する。胎児にとっては、胎内での感染・炎症暴露時間が長いほどその影響が強く慢性肺疾患などの合併症が重症化する。そこで、母体投与による子宮内炎症を抑制する制御方法を考案した。我々のレドックス制御系によるLPS誘発性早産モデルマウスに対する予防的効果はおよそ60%であった。今年度は、さらにLPS投与後に治療を行うプロトコールを作成し、治療効果について早産モデルマウスを用いて検証した。その結果、後投与により、およそ30%早産を抑制した。現在、詳細に病理解析等を行っている。
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