悪性黒色腫は早期にリンパ行性・血行性に身体の各所に転移をきたすため、皮膚癌のうちでも、最も予後不良の悪性腫瘍のひとつとして知られている。しかしながら、この腫瘍の転移のメカニズムについては今なお、不明な点が多い。我々は、悪性黒色腫の転移のメカニズムを明らかにすることにより、腫瘍の転移を阻止する治療薬を開発したいと考え研究を進めている。これまでに我々は、悪性黒色腫の転移には、腫瘍細胞と内皮細胞の間のコネキシン26によるギャップ結合の形成が重要な役割を担っていることを見いだした。さらに、マウスコネキシン26のアミノ酸配列から細胞外ドメインと予測される部分を2か所選定し、各々の部位について、抗原として最適と思われるペプチド配列を決定し、これらのペプチド抗原に対する高力価の精製抗体を得た。昨年から本年にかけて、BL6悪性黒色腫細胞株をマウスの足底に接種する前後の様々なタイミングで、種々の量の抗マウスコネキシン26精製抗体をマウス尾静脈から静注し、悪性黒色腫細胞の肺への転移を経時的に測定し、抗体による悪性黒色腫の転移抑制活性を解析中である。
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