研究課題/領域番号 |
20591330
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
久保 亮治 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70335256)
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研究分担者 |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90212563)
石井 健 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50296670)
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キーワード | 扁平上皮癌 / Bowen病 / 中心体 / aurora A kinase |
研究概要 |
ボーエン病組織を用いた免疫組織染色にて、中心体制御マスターキナーゼであるAuroraAキナーゼの発現変化について検討した。多核のclumping cellにおいてAurora Aキナーゼの過剰発現が見られた。一方、多核化していない腫瘍細胞および正常ケラチノサイトではAurora Aキナーゼの発現は見られなかった。次にこれらの細胞での中心体数異常について検討を加えた。正常ケラチノサイトおよび多核化していない腫瘍細胞においては中心体数の異常は見られなかったが、clumping cellではほぼ必ず中心体数の増加が見られた。すなわち、clumping cell出現のメカニズムとして、細胞質分裂の失敗による多核化と多中心体化が起こっている事が強く示唆された。一方、様々な細胞周期制御蛋白質の異常について、ボーエン病病理組織を用いた組織染色により検討した。検討した16のボーエン病組織の約半数ではRb+p53-の一層の基底細胞様の細胞と、Rb-p53+の有棘細胞様の細胞の2種類の細胞から腫瘍が構成されているパターンが見られた。残り半数ではRb+p53-の基底細胞様の細胞が見られず、ほぼ全ての腫瘍細胞がRb-p53+であった。しかしp53が+ではあるもののp53の下流にあるp21も+であり、p53は機能を失っていないと考えられた。一方、p16染色ではほぼ全ての腫瘍細胞が陽性に染まっており、ボーエン病腫瘍細胞はcell senescenceの状態にあると考えられた。
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