表皮角化細胞は「角化」という他の細胞系にはみられない特徴的な細胞分化過程をたどる運命付けられた細胞である。プラキン・ファミリーはその発現時期が表皮角化細胞の分化と密な関連があることが指摘されている。しかし、プラキン・ファミリーの機能やその動的挙動と表皮角化細胞の分化についての研究は未だ皆無である。今回、私共はプラキン・ファミリーの機能・動的挙動と表皮角化細胞の分化との関係を明らかにするために、培養細胞系を用いた研究を計画した. 組み換えタンパク質を用いた系および培養細胞発現系において、プラキン・ファミリーと中間径線維との結合性についての検討をおこなった。 エンボプラキン、ペリプラキンおよびデスモプラキンはTritonx-100に不溶性の中間径線維との複合体を形成したが、基底細胞型のプラキン・ファミリーであるプレクチンとBPAG1はTritonx-POに可溶性であった。 これらの結果から、各プラキン・ファミリーと中間径線維との結合性の強度に差異があることが明らかになった。また、結合強度だけでなく、各プラキン・ファミリーの中間径線維結合ドメイン配列も各々異なる部位があることが判明した。 その結果、各プラキン・ファミリー・メンバーにより、中間径線維との結合様式に差異があることが明らかになった。中間径線維との結合様式にプラキン・ファミリーごとに差異があることから、プラキン・ファミリーの機能・動的挙動と表皮角化細胞の分化との密な関連性が示唆された。
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