研究課題
水疱性類天疱瘡(Bullous pemphigoid ; BP)は高齢者に好発する自己免疫性水庖症の一つである。本疾患は自己抗体が直接細胞の接着を阻害する天庖瘡群と異なり、自己抗体がBP180、特に細胞外ドメインに存在するNC16a領域に結合したあと、補体の活性化が生じ、遊走してきた多核白血球が産生する蛋白分解酵素により基底膜が分解されることにより水庖が形成される。しかしこれだけで本病態がすべて説明できるわけではない。自己抗体結合後に表皮角化細胞と浸潤細胞の間をつなぐ各種サイトカイン/ケモカインの作用の解析などは、新規治療の開発のためにも必要となるものと考えられる。本研究の目的は水庖性類天疱瘡の発症機序―特に自己抗体が結合した後から水疱形成に至る機序-を構造タンパク質、シグナル分子、サイトカイン/ケモカインの3点からのアプローチで解明することである。結果:今回、研究代表者等はマウスNC16a領域に一致するポリペプチドに対する精製ポリクローナル抗体を作製した。精製した抗体はマウス皮膚180kDaと150kDaにバンドがWestern blot法で確認された。またマウス皮膚を用いて、精製ポリクローナル抗体による蛍光免疫染色を施行したところ、C57BL/6マウスでは基底膜部に線状の沈着が確認されたが、BP180ノックアウトマウスの皮膚では基底膜への染色は認められなかった。次に新生児マウス(生後24時間)に精製ポリクローナル抗体(5mg IgG/1匹)を投与したところ、投与24時間後の皮膚は容易に表皮がはがれることが確認された。投与24時間後の皮膚を蛍光抗体直説法にて観察すると、基底膜部にIgGの線状の沈着が確認された。今後炎症性サイトカインノックアウトマウスを用いた実験を行う予定である。
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