研究課題/領域番号 |
20591337
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
清水 忠道 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (70260396)
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研究分担者 |
牧野 輝彦 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (90359711)
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キーワード | 水疱性類疱瘡 / サイトカイン / ケモカイン / 自己抗体 / MIF / 炎症 / 水疱 / エラスターゼ |
研究概要 |
水疱性類天疱瘡(Bullous pemphigoid;BP)は高齢者に好発する自己免疫性水疱症の一つである。本疾患は自己抗体がBP180のNC16a領域に結合したあと、補体の活性化が生じ、遊走してきた多核白血球が産生する蛋白分解酵素により基底膜が分解されることにより水疱が形成されう。しかし自己抗体結合後に表皮角化細胞と浸潤細胞の間をつなぐ各種サイトカイン/ケモカインの作用の解析などは十分なされておらず、この機序の解明は新規治療の開発のためにも必要となるものと考えられる。 まず、我々は水疱性類天疱瘡患者の血清および水疱液中で炎症性サイトカインの一つであるマクロファージ遊走阻止因子(Macrophage migration inhibitory factor;MIF)が増加し、それが病勢と関連することを見いだした。このMIFが水疱性類天疱瘡の発症と関与するかを検証するため、我々が作製した抗マウスBP180 NC16a抗体をMIFトランスジェニックマウス、MIFノックアウトマウスに投与し水疱性類天疱瘡の発症について検討した。その結果MIFトランスジェニックマウスでは明らかな差がみられなかったが、MIFノックアウトマウスでは投与した抗体は表皮基底膜部に沈着したものの、臨床的、組織学的に水疱の形成がみられなかった。また組織学的に表皮下から真皮上層への好中球、リンパ球などの炎症細胞浸潤は抗体投与後の正常マウスと比較し著明に減少していた。以上よりMIFは水疱性類天疱瘡の発症病態形成、とくに好中球浸潤に関与している可能性が示唆された。それゆえ、MIFの制御は病態形成初期の好中球の遊走を阻害できる可能性があり、今後水疱性類天疱瘡の治療のターゲットとなりうる可能性が期待された。
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