研究課題
接触過敏反応を抑制するはたらきのある制御性B細胞は、表現型としてCD5陽性CD1d強陽性を特徴とする脾臓B細胞であり、CD23弱陽性CD21強陽性を示し、IL-10の産生が機能的な特徴であることを明らかにした。この制御性B細胞は、CD19欠損マウスではほぼ欠損しており、これに対してCD19をB細胞に過剰に発現させたトランスジェニックマウスにおいては逆に増加していることがわかった。したがって、B細胞におけるCD19の発現量により制御性B細胞の発達が規定されている可能性が示唆された。また、実験性自己免疫性脳脊髄炎のモデルにおいては、B細胞の関与が、正と負の両面から示唆されていたが、抗マウスCD20抗体を用いたB細胞除去療法によって、発症前にB細胞を除去すると症状の増悪がみられるが、反対に発症直後にB細胞を除去すると症状が軽快することが示された。発症から時間が経過してからB細胞を除去しても、臨床症状は変わらなかった。さらに、発症前にB細胞を除去された野生型マウスにCD20欠損マウス由来の制御性B細胞を移入すると症状の増悪は抑制されたことから、実験性自己免疫性脳脊髄炎におけるB細胞の関与は、時期依存的に2つの相反する作用があり、抑制については上述の制御性B細胞が担っていることが明らかにされた。また、全身性エリテマトーデスのマウスモデルであるNZB/NZW F1マウスでは、CD19を欠損させると、抗体産生は抑制されるにもかかわらず、腎炎の発症や生存率は逆に悪化することが示され、全身性エリテマトーデスの症状発現の抑制においても制御性B細胞の関与が示唆された。
すべて 2008
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